こんにちは、設計の松木です。
ショーホームのシーナリーの家をはじめとした内装の仕上げ材として使用している中霧島壁(ライト)。今回は、こちらを製造する高千穂シラス株式会社さん(https://www.takachiho-shirasu.co.jp)の工場見学について記載致します。
高千穂シラスで製造している、中霧島壁をはじめとする製品の主な原料は、約2.7万年前に南九州にある姶良カルデラの噴火によって発生した巨大火砕流の堆積物であるシラスになります。
採取場 上部の黄土色の部分の下層が約2.7万年前の堆積層
シラスは、超高温でマグマが急冷固化してできた高純度無機質セラミックであり、主成分は珪酸が7割、アルミナが2割程を占めます。
主原料のシラス 微細でさらさらとしている
珪酸は除湿剤の主原料であり、これにより調湿機能を有しています。
アルミナはガスの吸着性能が高く、臭いや化学物質の分子を吸収し、再放出しない特性があります。
また、シラスは固体の原子配列に規則性を持たない:非晶質 の割合が60~80%を占めており、このことで消臭分解や抗菌抗ウィルスの機能も有しています。
以下はそれぞれメーカーが検証したデータになります。
夏季は湿度を吸湿することで体感温度が下がる
消臭に関しては、アンモニアを布に染み込ませた容器の中にシラスを入れ30分後に嗅ぐと、臭いも鼻に刺さる不快さも感じず確かに吸着分解されていることがわかりました。
以下は吸着分解データです。高千穂シラスの方もはじめは吸着分解作用があることは知らず、お客様からの口コミにて検証した結果、再放出しないことが実証されたとのことで、素材としては非常にまれな性質であるとお話しされてました。
製造工程に戻り、採取場より取ったシラスを均一にするためにふるいをかけます。小屋の右手に見えるのは、ふるいをかけた際に出た石になります。
その後、均一に天日乾燥をしていきます。焼成工程が無いため非常にエコなシステムになります。
その後、製品別に再度ふるいをかけ顔料などを混ぜ、袋詰めし出荷となります。工場設備は地元農家の納屋を使用するなどここにもエコに配慮されている点が確認できました。
最後に外壁仕上げも内部の仕上げもシラス素材を使用したモデルルームを見学させていただきました。
外壁はそとん壁と言われる100%自然素材の製品で塗り替えを必要としない耐久性を備え、定期 (年2回が推奨)に水洗い(高圧洗浄も使用可能)を行うことでより美観を保てる仕上げ材になります。
材料自体に透湿性があることより雨がかかると表面が濡れ色となり異なる風合いを楽しむことができるのも特徴になります。
塗り方もさまざまあり、左官屋さんにより仕上げの表情が左右される点を持っています。
メーカー標準とする塗りパターンの一例 左官屋さんにより別の塗りかたをすることもできる
内部は厚塗りの中霧島壁と薄塗りの中霧島壁ライトで構成されており、外からの光や照明が当たる部分には陰影が出て独特な雰囲気を持つ空間になっていました。
帰りがけには社内に農場を持ち、自給自足用に製造されている、シラス土壌で栽培されたお米「マグマシラス米」も頂きました。こちらはお取引先の工務店向けの備蓄用としても製造されているとのことでした。
今回は現地に行き製造工程を見て、体感することでいままで使用していた素材の良さを改めて実感することができました。
8月末より、お客様のご厚意により見学会を行う和瓦の別府青山の家では内壁と天井の仕上げに弊社初となる、厚塗りの中霧島を使用しています。
シーナリーの家とはまた別の雰囲気を感じられますので、是非ご予約の上ご参加お待ちしております。
また、10月には高千穂シラスの方が来られて、素材セミナーを開催する予定ですので、日程が決まりましたらお知らせ致します。ご興味のあるかたは是非ご参加ください。
本日はこちらで失礼いたします。