シーナリーハウス チーフ設計プランナーの幸野成一です。
シーナリーハウスでは、「大分の風景をつくる」をテーマに家づくりに取り組んでいます。
この「風景をつくる」家づくりにおいて、時間によって変化する住まいの表情は設計の上で最も大切にしている要素の一つです。
特に、昼の顔と夜の顔。
同じ建物でありながら、太陽光と人工照明という「光」の違いによって家は全く異なる魅力を見せてくれます。
今回は、私たちが設計でどのように「昼と夜の表情」を生み出し、暮らしを豊かにしているのか、実例を交えてご紹介したいと思います。
昼の表情とは、太陽の光という照明によってその姿をはっきりと現します。
この時間帯に私たちが追求するのは、「風景との調和」と「素材の美しさ」です。
自然光が降り注ぐ昼間は建物のディテールや素材感が最も際立ちます。
例えば、私たちがよく採用する焼杉という自然素材は光の当たり方でその質感の深さが変わります。
青空や植栽の緑が外壁に映り込むことで、建物自体が生き生きとした表情を見せ、周囲の風景と一体になります。
シンプルなフォルムの家ほど軒や庇の存在が重要になります。
夏の強い日差しを遮り、心地よい日陰を生み出す軒や庇は外観に深い陰影を与え、立体感を醸し出します。
軒下の影は時間と共に刻々と動き、一日の太陽の軌跡を静かに伝えます。
その影の移ろいが、建物の静的な美しさの中に、時の流れという動的な要素を加えてくれるのです。
陽が落ち空の色が深くなると、家は自ら発する照明の光によって、温かい夜の表情へと変化します。
夜の家の表情をつくる主役は窓からこぼれる室内の光です。
昼間はただの開口部だった窓が夜には温かな行灯(あんどん)のように建物の内側の生活を照らし出し、家全体の輪郭を浮かび上がらせます。
この光が「ここに家族が暮らしている」という安心感を周囲に伝える美しいサインになっていると私は考えています。
そのため、室内の照明計画では光に温かみのある色温度(電球色)選びます。
ここからは同じアングルから見た外観の、昼の表情と夜の表情を見比べていきます。
「光にわの家」


「中庭と暮らす宇佐の家」


「和瓦の別府青山の家」


「景色を取込む スキップフロアーの家」


「朝日に開く家」


昼は太陽と風景を取り込み、自然と調和した顔。
夜は人工の光によって、暖かい顔を見せてくれます。
家づくりは単に箱をつくることではありません。
時間といった目に見えない要素をデザインし、住まう方がその変化を日常の中で感じ、暮らしをつくることです。
まずは昼の表情と夜の表情を意識して、シーナリーハウスのモデルハウスにお越しいただければ幸いです。






